改憲論の底流を追う 1
イラク戦フラッシュバック
イラク戦フラッシュバック
「 ( 陸上自衛隊との ) 襲撃訓練は、イラクの都市ヒットでわれわれが行っていた作戦を
フラッシュバックさせた。(思い起こさせた)」今年2月から3月にかけて、日本原演習場(岡山
県)と饗庭野(あいばの)演習場(滋賀県)で実施された米海兵隊と陸自による日米共同訓練(フ
ォレスト・ライト)に参加した海兵隊上等兵の証言です。(海兵隊発表のニュース3月1日付)。
米側から参加したのは「最近までイラクにいて数多くの襲撃を行った」(同2月18日付)という
部隊。イラクを「フラッシュバック」させる訓練とは、どんなものだったのか。
「寒けを感じた」
例えば、日本原演習場。野外に特設されたドアから人の形をした標的が出現し、小銃を構え
た陸自隊員が次々に射撃。標的の頭と左胸に付けられた白い円盤は命中すると粉々に飛び
散り、見ていた海兵隊員から拍手が起きました。饗庭野演習場では、海兵隊員の援護射撃
の中、陸自隊員が二階建てのビルに突入。煙幕や射撃音で騒然とする中、「敵」役の兵士が
逃げ惑いました。
イスラム教徒を想定してか、ターバンのような布を頭に巻いた兵士の姿もありました。
参加した海兵隊一等軍曹は「陸自はわれわれのイラクでの経験から新しい戦闘技術を学ん
だ」と強調しました。(同3月1日付)。
2月23日に地元議員らに公開された日本原演習場での訓練を間近で見た岡山県平和委員
会の中尾元重会長は「寒けを感じた」と言います。「人形の標的が、生身の人間になってしま
う時が来るのではないか」。憲法からかけ離れたところに、現実がきてしまっている」陸自は
今年に入り、日本国内では、「フォレスト・ライト」のほか、米陸軍と二つの共同実動訓練(オリ
エント・シールドとノース・ウインド)を実施しています。
いずれもかつては旧ソ連軍の着上陸侵攻を想定した訓練で「陣地戦」が中心でした。
ところが最近は、イラク帰りかアフガン帰り の部隊との訓練が常態化し、内容も市街戦訓練
が主眼に位置付けらています。その狙いはどこにあるのか。
「対テ口」戦争の鏡
矢臼別演習場(北海道)での「オリエント・シールド」 (3月)では「イラク、アフガン等の派遣経験
を積んだ」(陸自参加部隊発行の新聞)という陸軍州兵部隊が参加。岩手山演習場(岩手県)
での「ノース・ウインド」 (2月) にもアフガニスタンに派兵された陸軍部隊が参加しました。
米太平洋陸軍の機関紙2月24日号によると、「ノース・ウインド」に参加した陸軍小隊長(中
尉〉は「今回の訓練はいろいろな点で、われわれがイラクやアフガン、また地球規模の対テロ
戦争で行うことになる鏡(ミラー)だ」と語りました。イラクやアフガンなどでの海外の「対テロ」戦
争での日米共同作戦をにらんでいるのは明らかです。
さらに小隊長は次ののように述べています。自衛隊は過去60年間、保守的または防衛志向
の軍隊だったし、今もそうだ。
今日の作戦環境の下で彼ら (自衛隊) は、より攻撃的役割を担うようになっている。彼らが海
外に出動し、任務を遂行するよう
になったら出くわすことになることをわれわれは教えている。「専守防衛」の軍隊から地球規
模で米軍と肩を並べてたたかう軍隊ヘ 。自衛隊は、その姿を一変させつつあります。
自民、公明、民主の各党は、憲法九条をターゲトに改憲を競い合っています。改憲派は日本
をどこへ導こうとしているのか。
彼らが直面している矛盾とは。改憲論の底流を追いました。(つづく)
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改憲論の底流を追う 2
「恒久戦争の動員」
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原子力空母リンカーン
(米海軍ホームページから)
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米軍「海自と行動楽しみ」
海外の「対テロ」戦争での日米共同作戦をにらんだ米軍との訓練は、陸上自衛隊だけで
なく、海上自衛隊や航空自衛隊でも進んでいます。
5月25日早朝、米海軍の原子力空母リンカーンが長崎県佐世保湾に巨大な姿を現しまし
た。艦内の格納庫にマスコミ関係者を集めて聞かれた記者会見。
空母リンカーン打撃群 (リンカーンとその随伴艦で構成)のグッドウィン司令官は、日本へ
の寄港について「海上自衛隊と演習を行い、とりわけ地球規模のテロとのたたかいでより
よい共同作戦を行えるようにすることが目的だ」と公言しました。
米空母の護衛役
リンカーン打撃群はその後、イージス護衛艦「ちょうかい」など海自艦船とともに、対潜水艦戦
を中心にした訓練を6月中旬に実施。リンカーンは3月下旬に日本の周辺海域を通過した
際にも、海自のイージス護衛艦「きりしま」などと、対空戦・対水上戦・対潜水艦戦を訓練しま
した。
米海軍発表のニュース4月4日付は、3月の訓練について「きりしま」など三隻の海自護衛艦
がリンカーンを守る「防空司令部」などの役割を担い、「空母打撃群に継ぎ目なくスムーズに
統合された」と強調しました。
海外で爆撃訓練
リンカーン打撃群は2002年8月にも佐世保に寄港。その後、ペルシャ湾に展開し、 03年
3月、イラクへの先制攻撃戦争に加わっています。グッドウィン司令官の記者会見後、
リンカーンの広報官は、記者らに「将来、海自と行動をともにできることを楽しみにしている」
と語りました。
空白と米空軍が米領グアムで1999年から行っている共同訓練 ( コープ・ノース・グアム ) 。
空白の戦闘機(F4EJ改)が昨年初めて、グアム沖の島にある射爆撃場で、実弾(500ポンド
爆弾)を使つての対地爆撃を訓練しました。
戦後初めての海外での実弾爆撃訓練でした。今年は6月に実施しました。
昨年と今年の爆撃訓練の違いは何か。防衛庁・自衛隊の準機関紙「朝雲」6月15日号は、
次のように指摘しています。「初回の昨年は空白のみの単独で行われたが、 2回目の今年
は、米側と共同で実施、米 F15戦闘機が敵味方に分かれて要撃戦闘を展開する中で、空白
F4EJ改戦闘機がその間隙を縫って射爆撃を行う訓練などが実施された」
「昨年は空白戦闘機が単独で射爆撃場に爆弾を落としただけだったが、今年は米軍戦闘機
が空中戦を行う中でそのすき閣をかいくぐって爆撃するという実戦的な訓練だった」
というのです。
ブッシュ米政権は今年に入り、「四年ごとの国防計画見直し (QDR) 」をはじめ外交・軍事戦略
に関する報告書などを相次いで発表。米国がテロなどに対する「長い戦争 ( ザ・ロング・ウオー) 」のさなかにあるという世界認識を示し、その「勝利」のためには同盟国の動員が必要な
ことを繰り返し強調しています。
九条という「恒久平和主義」の憲法を持つ日本を、「長い戦争」、いわば「恒久戦争」に動員す
る準備が急ピッチで進んでいます。(つづく)
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改憲論の底流を追う 3
日米「統合軍」化
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首脳会談後の記者会見に
臨む小泉純一郎首相とブ
ッシュ大統領。
6月29日
(首相ホームページから) |
「集団的自衛権が大切だ」
「プレスリーの家で、はしゃいだというだけではない。この時、『新世紀の日米同盟』という
声明が出た。これは、一つの小泉政権の締めだ」陸上自衛隊の幹部は、小泉純一郎首相
とブッシュ大統領との首脳会談(6月29日)について、こう強調しました。
新しい日米同盟
陸自幹部があげた声明(日米共同文書) は、日米両政府が推進する在日米軍再編の
「完全かつ迅速な実施」を明記し、「21世紀の地球的規模での協力のための新しい日米
同盟」を宣言しました。日米の軍事的協力を地球規模で進めていこうというものです。
その柱の一つが、米軍と自衛隊の一体化です。
防衛庁主催の「米軍再編シンポジウム」(5月20日) で、メア在日米大使館の安全保障部長
はこう力説しました。「われわれの目標は何だったのか。一つは、われわれの同盟能力を
向上する。米軍と自衛隊をもっと融合して、ある意味で統合する必要がある」
昨年2月から今年5月にかけ在日米軍再編で日米が合意した一連の共同文書は、
この「統合軍」化の具体的な方向を示しています。
日米が「テロ」「大量破壊兵器」への対抗という「世界における共通の戦略目標」を持つ。
この目標を実現するため、米軍と自衛隊を軍事的に一体化させる。とくに司令部機能を
統合し、基地の共同使用、共同訓練を拡大する。「テロ」とのたたかいを口実に、米国が
引き起こす先制攻撃の戦争で米軍と自衛隊による共同作戦を可能にする態勢づくりです。
こうした方向は、自衛隊を米軍の補完戦力とする従属的な一体化です。
海上自衛隊幹部OBは「海自は、陸・空に比べて、日米共同訓練を一番早く始めた。だが、
共同訓練をやり続けて、結局、米海軍の一部になってしまった。
陸も空もそうなってしまいかねない」と嘆きます。
米戦略に沿った在日米軍再編は、九条改憲への衝動を強める要因になっています。
焦点は集団的自衛権の行使です。
集団的自衛権は、海外での武力行使を可能にするもの。戦力の不保持をうたう憲法九条の
もとでは、歴代の自民党政府であっても「許されない」としてきました。
自民党の憲法調査会幹部は、昨年11月に発表した「新憲法草案」の「バージョンアップを
やっていきたい」と強調。「草案では、集団的自衛権の行使を、安全保障基本法に委ねると
なっている。九条に解釈の部分が残るとなれば、戦後ずっとわれわれを悩ませてきた解釈
論争がまた始まる」と述べ、集団的自衛権行使を明記すべきだと主張します。
米国防総省元日本部長のジェームズ・アワー氏も「米軍再編合意は日米安保に新しい任務
を与えた点で重要だが、履行には現在の日本政府の集団的自衛権に関する政策を変えざる
を得ない」と述べています。(沖縄タイムス1月4日付)
安倍氏の「公約」
「ポスト小泉」の一人・安倍晋三官房長官は、自民党幹事長代理時代の昨年10月、米国の
ネオコンの牙城といわれるシンクタンク主催の会合で、こう講演しています。「日米同盟をより
いっそう実効性を高めていくためには、日本がしっかりと集団的自衛権を行使できるようになることが、大変大切だ」「次のリーダーが憲法改正について政治日程にのせることになる」
( つづく )
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改憲論の底流を追う 4
本格的な派兵態勢。
下の写真は陸上自衛隊のイラク支援活動です。(陸上自衛隊ホームページより)
6月25日の撤退のようす。
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6月25日の撤退のようす。
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6月25日の撤退のようす。
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6月25日の撤退のようす。
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サマーワ市内の商店街
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サマーワの中心街。
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サマーワの砂嵐。すべてが黄色になる。
家やテントの隙間から砂が入り、床に砂がたまる。
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自衛隊の交代式のようす。
到着する隊員と歓迎する隊員。
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立ちはだかる9条を敵視。
迷彩服姿の陸上自衛隊の隊員が羽田空港に到着しました。
イラクに派兵されていた部隊です。25日に最後の撤収部隊が帰国しました。
「こんな時代になるとは思ってもいなかった。ぼくが防衛庁に入ったころの海外任務といえ
ば、南極観測への協力や遠洋練習航海くらいなものだった」防衛庁幹部はこう述べました。
自衛隊法の改悪
政府は、海外派兵を自衛隊の「本来任務」(主要な任務)にする自衛隊法改悪案を、通常国会
終盤の6月9日に閣議決定し国会ヘ提出。今年秋に予定される臨時国会で成立を狙っています。小泉自公政権の下で自衛隊の海外派兵はインド洋やイラクへと一挙に拡大しました。
ところが、こうした海外派兵は、自衛隊法の中では「付随的任務」とされてきました。
改悪案はそれを「本来任務」に格上げしようとしています。在日米軍再編で日米両政府が
地球規模での軍事協力を「同盟の重要な要素」(昨年10月の合意)と宣言したのに呼応する
動きです。海外の戦場を想定するという日米共同訓練の様変わり、米軍と自衛隊の「統合
軍」化に続き、仕上げとして本来の野望である本格的な海外派兵態勢づくりに向かっているのです。
自民党は、自衛隊法改悪案の閣議決定から5日後、政府の判断で自衛隊をいつでもどこへ
でも海外派兵できる派兵恒久法案の概要をまとめました。
こうした本格的派兵態勢づくりに立ちはだかっているのが、憲法九条です。
海外派兵の「本来任務化を狙う自衛隊法改悪案の条文には、これまでの派兵立法(PKO=
国連平和維持活動法、周辺事態法、テロ特措法、イラク特措法)と同様に、「武力による威嚇
又は武力の行使に当たらない範囲において‥」との条件が付けられています。
憲法9条が歯止めになっているのです。
派兵恒久法案の概要に盛り込まれた「治安維持活動」についても、政府高官は「これまで
海外での自衛隊の武器使用は、(軍隊ではないから)正当防衛の延長で説明してきた。
治安維持活動というのは、憲法上、難しい」と語ります。
陸自の元幹部も「自衛隊ヘの期待が高くなったといっても、治安維持活動までの国民の支持はない」と言います。
「邪魔物」と攻撃
日米同盟の地球的規模の拡大をすすめる勢力の目には、これが「憲法9条の呪縛
(じゅばく) 」に映ります。
2004年、アーミテージ米国務副長官(当時)は「日米同盟の邪魔物だ」と敵視。
安倍晋三官房長官も「 ( 改憲によって)戦後の呪縛から解放される」(03年、当時は官房副長
官) と述べました。
自民党の中からは「改憲=海外で戦争する国づくり」との批判を気にして、言い訳の芦も聞こえてきます。5月、米ワシントンで聞かれた「日米安全保障戦略会議」で自民党の久間章生総
務会長は「憲法改正したとしても、他国にまでいって戦争をすることはない。
そこに日本の限界はどうしてもある」と述べました。一方で久間氏は「日米関係を一歩でも米英関係や米豪関係に近づけたい」と表明しました。
日米関係をイラク戦争をともにたたかった米英関係や米豪関係に近づけることになれば、
「海外で戦争する国づくり」は不可避となります。(つづく)
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改憲論の底流を追う 5
「占領の残滓」と攻撃
安部晋三官房長官(安部晋三のホームページから)
「占領の残滓」と攻撃
「本来ならば(先に)憲法を変えて、それにふさわしい教育基本法とはなにか、考え、
つくる作業が必要と申し上げてきた。」24日夜、東京・九段会館で聞かれた「民主党
『教育再生』シンポジウム」。主催者を代表してあいさつした同党の鳩山由紀夫幹事長は、
改憲と教育基本法「改正」とのかかわりについて、こう切り出しました。
続いて行われたパネルディスカッションでは、改憲団体「民間憲法臨調」代表委員を務めるジャーナリストの棲井よしこ氏が登場。
同氏は「民主党案を非常に高く評価している。政権者とる資格が出てきたと黒う」と絶賛しました。教育基本法改悪と憲法改悪を一体にと争えているのは民主党だけではありません。
本家は自民党です。
「戦争する国」
右翼改憲団体「日本会議」と提携する「日本会議国会議員懇談会」で「防衛・外交・領土問
題」プロジェクト座長を務めたこともある安倍晋三官房長官は、昨年の「自由民主」新年号
(05年1月4・11日合併号)で次のように語っています。
「占領時代の残津(ざんし) を払拭することが必要。
教育基本法、憲法をつくり変えていくこと、それは精神的にも占領を終わらせることになる」。
戦後日本社会の原点である憲法と教育基本法を「占領時代の残津」と切り捨て、戦前と今を
つなごうとする復古主義がむき出しです。
この発言について安倍氏は、日本共産党の笠井亮衆院議員に追及(6月2日)されても、
改めようとはしませんでいた。
「子どもと教科書全国、ネット21」の俵義文事務局長は、いいます。「教育基本法改悪の一番
のねらいは、『お国のために命を投げ出してもかまわない』という国民づくり。
これは『戦争する国』をつくる憲法改悪と一体のものです」
政府と民主党の教育基本法改悪法案が競い合うように審議された教育基本法特別委員会
では、委員の四割以上が、「日本会議国会議員懇談会」か「教育基本法改正促進委員会」と
いう「日本会議」系の議員連盟に参加していることも明らかになっています。
「『日本会議』系の議員が中心になって、憲法に反する議論を平然と交わしていく。
まるで『日本会議』にのっとられたような委員会でした」。俵さんはそう振り返ります。
内部の矛盾も
「いま若手議員に安易な右寄りの傾向が出始めている。それを勢いづげたのが小泉さんの
行動だ」。自民党のあるベテラン議員からもこんな声がでる状態です。
しかし、自民党が昨年秋に発表した「新憲法草案」では、検討されていた復古調の「前文」や
「国民の責務」を表現の上で簡素化しました。
そのため、「九条一項を残したのはけしからん」などさまざまな不満がの声が出ています。
国民多数の支持を得ょうと思ったら、「本音」はある程度オブラートに包まざるをえない、
ところが「右パネ」が働くいまの党内では、それだけでは満足できない。
ここに改憲派内部の矛盾の一つがあります。
前出の自民党議員は、いいます。「靖国問題が心配だ。(靖国問題が未解決のまま)憲法改
正になるとアジアで日本にたいする恐れをあおるという効果をもつ」改憲を推進する立場から
も、「靖国問題を早めに解決しなければ、先の展望が開げない」というのです。( つづく )
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改憲論の底流を追う 6
対決する「草の根」運動
(下の写真は三重九条の会のホームページより)

対決する「草の根」運動
「憲法改正は次の内閣の大きな課題になるのは間違いない」「 ( 改憲の実現は )五年程度
で」ポスト小泉レースで 「大本命」と言われる安倍晋三官房長官は5月に東京都内で行った
講演でこうのべました。
「9条」問えず
「非安倍」で候補者一本化を模索する山崎拓自民党前副総裁も、「政策提言」のメインテーマ
に「憲法を改正し、『道義国家』をつくる」を掲げています。
だれが次の自民党総裁になろうとも、次期政権のもとで改憲そのものへの着手が目指される
という方向です。
自民党憲法調査会の幹部は「ポスト小泉のもとで行われる今年秋の臨時国会で改憲手続き
法案の年内成立を目指す、それが次の目標だ」とのべます。しかし、憲法をめぐる動きは、
必ずしも改憲派の「スケジュール」通りには進んでいません。
改憲手続き法案は、先の通常国会で継続審議となり、公明党は今年秋に予定していた九条
改悪を含む加憲案づくりを延期しました。民主党では、今年中にまとめることにしていた改憲
草案づくりが進んでいません。
正面から九条改憲の中身を問わないことについて、自民党憲法調査会幹部は、「そこは『も
ろ刃の剣』『毒薬』という要素があり、カンフル剤を使ってうまくいくのかどうか」「共産、社民に
(改憲手続き法案も)『九条改憲と一体だ』と批判されてしまうし」とこぼします。
ある財界関係者は「 (改憲案を) 条文化すると提言段階と違つである種の現実感が出てき
た。そのもとで国民の闘では危ぐ感も出てくるし、またどうしても改憲する必要があるのかという疑問も出てくる」と指摘します。
共同が広がる
「改憲スケジュール」を遅らせている最大の要因は、いま全国で広がる
九条改憲に反対する草の根の運動です。6月に聞かれたある改憲派の集会では「わが国には『九条の会』と称する組織が全国に組織されている」と警戒を示す発言も出ました。
6月10日に東京都内で開かれた「九条の会」の全国受流集会では保守の人々も含む共同
の輸が広がる様子が生き生きと報告されました。自民党新憲法起草委員会の森喜朗委員長
のおひざ元、石川県でも自民党の元県連幹事長・上口正徳氏が「九条の会」の呼びかけ人
に参加。5月3日の集会では自らの痛苦の戦争体験をふりかえりながら、「私は青春を自民
党の中で過ごしたわけですが、誓って言えることはその中で憲法を改正しようなどということ
は、私自身はもちろん、私たち同僚の議員全体も、ぞんな思いは一つもなかったはずだ」と
語り、感動を呼びました。
自民党憲法調査会幹部は「 (スケジュールの遅れを)打開するにはやはり国民を巻き込んで
いくというのが不可欠の課題だ」と執念を見せます。九条改憲をめぐるせめぎ合いの中で緊
迫した状況が続きます。(おわり)
(この連載は榎本好孝、田中一郎、中祖寅一、藤原直が担当しました)
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